家具の木目の色選び⑤ ー異素材や無彩色で緩和させる②+グレー系フローリングについてー
数回に分けて、
家具の木目について、お話しています。
木材を使った家具選びをする時の
参考になればと思います。
過去の記事はこちらです。
前回、
【床と家具の色をうまく調和させるコツ】
異素材&無彩色で緩和させる。
の続きです。
無彩色で緩和させる。
について。
無彩色を入れるとは、つまり、
白・黒・グレー
を入れるということ。
この話の前に、
色の話を少し。
色は、
①色相 どんな色か (赤・青・黄色など)
②明度 どんな明るさか(白または黒の割合)
➂彩度 どんな鮮やかさか (グレーの割合)
の3属性で構成されています。
色には、無彩色と有彩色がありますが、
無彩色は、白・グレー・黒を指すので、
②の明度のみで色が表現されます。
対して、
有彩色がありますが、
こちらには、
①②③があり、それぞれの度合いによって、
色味が異なります。
ホームぺージにわかりやすい説明がありますので、
3属性にご興味ある方は、そちらをご覧下さい。
ここでは、無彩色を入れる件について。
白・黒・グレー
はどんな色とも合わせやすいです。
洋服も同じですが、
木目にも合わせやすい色です。
例をいくつか。
出典:Molteni&C
黄色味から赤味の混合の
パーケットフローリング。
なかなかインパクトのある床面ですが、
かなり濃いめのダークブラウンテーブルを合わせています。
その緩衝材として、ライトグレーのラグ。
”異素材かつ無彩色”で、全体を取りまとめて、
空間をシックにまとめています。
ピンクのアームチェアなど、
個性的なアイテムとのコーディネートですが、
グレー系のソファとカーテンの効果で、
全体感は落ち着いています。
続いてこちら。
出典:CASSINA .IXC
かなり明るい木目のフローリングに、
ブラックに近いダークブラウンの書棚と
少し赤味のあるコンソールを合わせています。
床面を覆うグレーのラグと、
天板がセラミックのグレーのテーブルによって、
フローリングと書棚のコントラストを抑えて、
全体のトーンを合わせています。
こちらは、木目と無彩色のバランスが
とても綺麗です。
出典:キッチンハウス
床と天井、キッチンの一部とダイニングテーブルも
インパクトの強い木目ですが、
キッチンと家具のカラーを無彩色で統一。
ブラックからグレーのグラデーションで、
一つのグループのように見せていて、
全体がとてもすっきりして見えます。
続いてこちらは、
ナチュラルテイスト。
出典:キッチンハウス
グレー系の明るい床の木目と、
キッチンの背面収納の木目。
黄色味の強いダイニングセット。
少しごちゃごゃしそうですが、
ここに、
壁面タイルとキッチンの下部収納・
ソファにグレーを入れることで、
すっきりとまとまっています。
ソファ前のテーブルとキッチン天板も
無彩色の石目で揃えていますね。
最後の2枚は、
キッチンも合わせてお話していますが、
リビングダイニングの一部となる、
オープンキッチンの住まいが多いと思いますので、
家具を選ぶ際には、
キッチンとの色合わせもとても重要かと思います。
どんな木目のカラーとも合わせやすい
”無彩色”のアイテムは、
時に、全体をまとめる役割を担ったり、
ケンカしやすい色同士を合わせたい場合の仲介役となってくれたりと、
大活躍です。
白や黒ではコントラストが付き過ぎる。
という場合には、
グレーを味方につけると、
問題解決の糸口が見つかるかもしれません。
特に、いろいろなものを盛り込みすぎる傾向にある場合は、
ぐっとこらえて無彩色を入れることで、
全体がすっきりまとまります。
加えて、グレーは汚れが目立たない。
という利点もありますね!
以上が、本日の一つ目のテーマ、
無彩色で緩和させる。
でした。
そしてここからは、
もう一つ書きたかったこと。
グレー系のフローリングについて。
です。
最後の1枚は、床がグレー系です。
グレー系のフローリングが、近年増えています。
いわゆるシャビーシックや、
インダストリアル系といわれるような、
アンティーク調インテリアの人気の
高まりに伴っているようです。
以前は、一点の曇りもないような、
”新品ピカピカのもの”が好まれる傾向にありましたが、
最近は、”味わい深いものが良い”という概念にも、
価値が見出されたように思います。
木材には製材直後から、
グレー系の色のものはあまりありません。
経年変化によって、
グレー味を帯びてくるものは多種あって、
たとえば、
ウッドデッキに良く使われる、
”イペ”や、
和箪笥に使われる”桐”なども、
グレー味を帯びます。
いずれも経年変化によるものなので、
乾いた印象となります。
先程の最後の写真のように、
面積の広い床のフローリングに、
グレー系を選択することで、
モダンなアイテムや素材を使いつつ、
全体をアンティーク調にうまくまとめることが可能ですね。
ただ、グレー系であれば何でもうまくまとまる訳ではないので、
注意も必要です。
住宅の床に使用するフローリングや家具は、
天然の木材をグレーに染色または、塗装をしたり、
または、木目シートでその風合いを再現しています。
大理石やコンクリート・タイル等とは異なり、
もともとは木材の色や風合いをもっているものなので、
色を乗せても、その性格も残しています。
その性格を残しつつ、
グレーを乗せて、
木目の彩度を落としている。
ということですので、
染色のカラーや塗膜の厚さによって、
醸し出すイメージが異なります。
例えば、ヨーロピアンオークは、
素材そのものの色は、黄味を帯びています。
※以下の写真は全て
マルホンさんからお借りしました。
名称は、マルホンさんの呼称なので、
各メーカーで異なりますが、
参考までに記します。
無塗装 オイル仕上げ
ホワイトウォッシュ
ミルキーウォッシュ
グレーウォッシュ
草木染
草木染
グレーと一言で言っても、
これだけ違いがあります。
ヨーロピアンオークもともとの
素地の色は、明るく黄色味の強い色合いで、
濃淡の差の感じられるとても自然な風合いです。
この素地に、
ホワイトを乗せていくと・・・。
均質感が出ます。
お化粧のファンデーションのようなイメージですね。
木目の荒々しさが抑えられて、
同時に、明るさが増し、黄色味が減りますので、
パウダリーでふんわりとした優しいイメージになります。
↓
グレーを乗せていくと、
使いこんだような陰影が出て、重厚さが増し、
アンティーク感が出てきますね。
グレーが乗ることで、
木目の陰影がはっきりするので、
ホワイトで染色した場合と比較して、
かなりワイルドな印象になります。
色味は黄色味が抑えられて、
温かみが減ってクールな印象になります。
樹種が変わるとまた印象が変わります。
下の2枚は、アッシュ材。
元来の木目がはっきりしているので、染色によって
より個性が際立ちます。
グレーと一言で言っても、
いろいろな印象の木目があります。
ここでは、天然木に限ってご紹介しましたが、
工業的に作られたグレー系の木目は、
表現が自由ですので、さらにさまざまな表情があります。
グレー系は、”無彩色”の役割を果たしてくれますので、
無機質でスタイリッシュなインテリアを目指したい場合も
お勧めですが、木目の出方や色合いによっては、
”年月を経たアンティークな印象”
”乾燥した風合い”
を持っている場合も多いので、
使い方によっては、真逆の性格を発揮してしまいますので、
要注意です。
染色の度合いや、木目の出方を観察して、
その性格を踏まえた上で取り入れると良いと思います。
また、モダンな家具の中に、
異素材のアクセントとして、
数点グレー系の家具を取り入れても素敵です。
グレー系の内装材や家具も増えてきています。
その木部は、黄色系・赤色系なのか。
という基準に加えて、
グレー味が入っているのかいないのか。
また、どれくらい入っているのか。
という点を木製品を選ぶ判断基準に加えると、
判断を誤らずに、
目指すスタイルにたどり着きやすいと思いますので、
是非注目してみて下さい。
下の2枚は、
どちらもグレー系の床を使っていますが、
全くテイストが異なります。
合わせるもの次第で真逆の世界観を創れるのが、
面白いですね!
出典:Sarah Grace
出典:Poliform
黄色系・赤色系のお話と、
グレー系のコーディネート例については、
にて書いていますので、
こちらもご覧下さい。
Category
- NEWS・自己紹介 (7)
-
BLOG
(0)
- お客様の声・コーディネート事例 (20)
-
サービスのご案内
(18)
- 動画ウォークスルー (4)
-
こだわりポイント紹介
(3)
- 事例解説 (1)
-
インテリアアイテムの選び方
(1)
- カーテンの選び方 (14)
- 家具の選び方(木目の色) (9)
- その他アイテムの選び方 (1)
- おすすめの家具ショップ&アイテム (21)
- おすすめのファブリックスショップ&アイテム (3)
- 展示会レポート (5)
- アートや食器など 日々を彩るアイテム (2)
- お打ち合わせ・日々のこと (8)
- 居心地のよいインテリア ホテルなど (3)