1.大型テレビを掛けたい。でも、壁が足りない
キッチン側の壁面には、もともと収納の扉、キッチンへの入口、
洋室への開きドアがあり、まとまった壁面が少ない間取りでした。
今回ご希望の家具レイアウトにすると、部屋の端に中型のテレビをスタンドで置くのが精一杯。
そこで、当初は予定していなかった洋室のドア位置の変更と、キッチンを隠す引き戸の設置をご提案しました。
これにより、大型テレビを壁掛けできる場所が生まれ、キッチンの生活感も隠せるようになりました。
Before


After


もともとの間取りには、その状態で使いやすくするための考え方があります。
リビングを拡張すると、以前は気にならなかったドアや開口部の位置が、
新しいレイアウトでは使いにくくなることもあるのです。
広くするだけでは解決しない部分を、使い勝手とデザインの両面から見直す。
今回も、アスリノ三浦さんの提案により壁面に一体感をつくることができました。
こちらの壁面にもともと設置されていた、給湯器や床暖房ののコントローラーや照明のスイッチ、コンセント等も
キッチンの内部に移設し、目にする機会の多い壁面をよりすっきりさせています。
設備・電気関係については、”目立たせないようにする”ということがインテリアでは重要になる場合が多いのですが、
当たり前にあるものも、こんなことはできませんか?と電気工事士さんに相談しながら現場を進めます。
細かい点ですが、スイッチやコンセントプレート・ダウンライトについてもその配慮は欠かせません。
施工に関してはアスリノの三浦さんが大変心強い存在。
引き戸の仕様についても現場の大工さん、建具屋さんと何度も打ち合わせを重ねることで、
最も美しい形に納めることができたかと思います。
2.既存と同じフローリングが、手に入らない
床は全面的に貼り替えず、既存のものを活かす方針でした。
ただ間取りの変更に伴い壁を撤去する部分の一部の貼り替えは必要。
別のものを代用するとパッチワーク状に床がまだらになってしまいます。
ずいぶん探したのですが、既存のフローリングは物件専用の品番で、一般市場には流通していないもの。
これはリフォームでは起こり得ることで、一部色の異なるものを貼ることはリフォームあるあるかとは思います。
ただ、今回のように新築マンションを買われた方は、せっかく新しいお部屋に住むのに、床がまだらになるのはとても残念なことです。
とはいえ、まだ使える床を全面的に貼り替えるのは、やはり忍びない。。。
そこで、この件をお客様にご相談したところ、思いがけない言葉をいただきました。
「いっそ、違う色や素材を貼ってしまったら?」
このアイデアに救われました!
私は、拡張したリビングの床をひと続きにして、広く見せることを気にし過ぎていました。
そこから改めて検討し、書斎部分はグレー系のタイルに貼り替えをすることにしました。
すると、その部分の既存フローリングをある程度まとまった面積で外せるため、
ほかの補修が必要な箇所へ転用できることに。
フローリング部分はもとの仕様で美しく整え、書斎部分はタイルで変化をつけるという、よい解決につながりました。
お客様と一緒に考えることで、私たちだけでは見つけられなかった答えにたどり着く。
そんな場面も、住まいづくりの大切な時間だと感じています。
ソファの裏側のみ床がグレーになっています。

photo by ナカサアンドパートナーズ

photo by ナカサアンドパートナーズ
3.大判セラミックタイルを、どう実現するか
マンションのリノベーションでは、素材選びに搬入経路や施工期間、コストなどの条件が関わってきます。
ダイニングの壁面には、大判のセラミックタイルを採用しました。
全体のコストバランスを調整しながら、ここにはしっかりと予算をかけています。
書斎スペースの上部には、動線に干渉しない位置に、存在感のあるアートを飾る計画です。
一方で、ダイニングの壁面にも表情を加えたい。
ただ、こちらにもアートを飾ると、視線があちらこちらに飛んでしまいますし、動線上も邪魔になります。
そこで考えたのが、壁そのものを見せるという方法です。
シックでモダンな空間に、目地の少ない大きな面がすっと通る。
そのすっきりとした佇まいと素材の質感が、今回の空間にはしっくりくると考えました。
大判のセラミックタイルは、コストや施工、搬入の難しさもあり、
マンションでは気軽に採用できる素材ではありません。
壁にアクセントを加えるだけなら、壁紙やエコカラットなど、ほかにも選択肢はあります。
それでも今回は、目の肥えたY様に、素材そのものの美しさを楽しんでいただきたいと思いました。
色や柄だけでなく、面の大きさや目地の入り方まで含めて、目指す空間に合うものを選びたかったのです。
ただ、採用が決まっても、それで終わりではありません。
こちらのマンションはプライバシーに配慮したつくりで、搬入経路にも制約がありました。
大判のタイルを運び込むのはひと苦労。
職人さんたちが大事をとって、階段を使って手運びして下さいました。
私たちの「こう仕上げたい」を形にしてくださる方々には、本当に感謝しかありません。



photo by ナカサアンドパートナーズ
デザインを形にしてくださる方々がいる
こうした素材を使いたい、ここをすっきり見せたい。
その思いを実際の空間にしていくには、施工を担う方々の経験と工夫が欠かせません。
今回も、アスリノ株式会社と職人さんたちに支えていただきながら、一つひとつ納めることができました。
見え方だけでなく、使いやすさ、既存のものを活かす方法、施工の条件まで考える。
その積み重ねが、完成した空間につながっています。
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DREAM INTERIOR
加藤英里
インテリアは、人生をアップデートする入口
馴染みだけで選べば、暮らしは既知の範囲に閉じ込められます。
でも、未知に触れた瞬間、暮らしの質は少しずつ、確実に変わり始めます。
その変化が、その人の生き方を静かに押し上げることだってある。
私は、これからもお客様がまだ見たことのない世界へ、そっと光を当て続けたいと思います。
インテリアコーディネーター資格取得後、
メックデザインインターナショナルにてモデルルーム設営に携わり、
二級建築士取得後は、野村不動産にてマンションの商品企画を経験。
空間デザインと不動産、双方の視点から住まいづくりに関わってきました。
2015年に独立以降は、個人邸を中心に、
住まい手の価値観や美意識を丁寧に読み解くインテリアコーディネートを行っています。
DREAM INTERIORが大切にしているのは、
流行や装飾に左右されない、その方の人生に静かに寄り添う空間。
インテリア提案から家具の選定・販売、施工までを一貫して担い、
完成形はCGによって事前に共有。
「選ぶ」「決める」「迷う」といった思考と判断の負担を極力手放し、
本当に集中すべき時間と感性を守るための住環境を設計しています。
2006年よりミラノ・サローネを現地視察し、
イタリア本国の家具ブランドやショップの空気感、
素材やディテールの変化を、日本の住空間へと落とし込んできました。
完全ワンストップ、かつ完全委任型のインテリアデザインサービスとして、
一邸一邸、丁寧に向き合っています。