【前編】カガミ建築計画訪問ー高級リノベーションの第一人者各務謙司さんと考えるリノベーションの本質ー
「これからの住宅市場を切り拓く、マンションリノベーション設計」セミナー
OZONEデザインセンターで開催された「これからの住宅市場を切り拓く、マンションリノベーション設計」セミナー。
その登壇者がカガミ建築計画の各務謙司さんだと知った瞬間、迷うことなく申し込みをしていました。
その設計はどこまでも洗練され、そしてそのブログでの情報開示が圧倒的で業界内でもファンの多い唯一無二の存在。
一体どんなお話をされるのだろう。と大変興味をもって臨みました。
今年7月から業務提携をしているアスリノ株式会社の三浦さんと一緒に拝聴しました。
セミナーの告知文はこちら

開始前から伝わるサービス精神
当日、少し早めに到着したつもりが、すでに会場には多くの人。各務さんは、予定時刻前から既に話し始めていらっしゃって。
「えっ、もう始まってる!?」と私は焦りました。
けれどすぐに気づいたのです。
まだ正式な開始ではなく、早く来た人にも退屈な時間を過ごさせないようにと、自ら場を温めて下さっていたのだと。
その“サービス精神”が空間にあふれていました。
どんなに多忙でも、どんなに地位があっても、相手の方の時間を大切にする姿勢。その在り方に心を掴まれました。
スライドを撮っていいよ、という一言
「スライドを写真に撮っていいですよ」そう言って笑う各務さん。
普通のセミナーではなかなか聞けない言葉。“出し惜しみしない方”という印象がさらに広がりました。
最初は遠慮していたものの、私はつい何度も立ち上がり、スライドを撮影しました。
※セミナー中の写真は各務さんご本人の許可を頂いて掲載します。
具体的なリノベーションのプランニングプロセス

図面だけではなく模型を作ってお客様にお渡しすると喜ばれる!

具体的なリノベーション事例はもちろんのこと、お話はどのようにこの市場を開拓してきたのかということにも及びました。
その中には、これからのリノベーションを考える上で忘れられない言葉がいくつもありました。
お客様の“時間”を設計するという考え方
お客様との打ち合わせの際の言葉として、
「リフォームを検討している“今”こそ、お客様が一番楽しい生活をすべき時期なんです」
この一言が、心に刺さりました。
「最初に設定した“根拠のない費用感”のために、やりたいことを我慢して、また何年かしてリノベーションをやり直す。それは本当にもったいない。一番勿体ないのは、お金ではなく、良くない間取りに合わせて、我慢しながら住み続ける“お客様の時間”なんです!」
“お客様の時間”を守る。その視点に、私は強く共感しました。
一見、予算を抑えて提案することがお客様の利益を守ることのように感じがちですが、長い時間の中でのお客様の満足感を考えると、そこにとどまらず、本当にお客様の願っていることに一歩込むことが重要。
私自身は正直なところこの本質的なことに触れられずにいることがありますが、
ここまで踏み込むことでお客様ご自身の枠を超えるような、他社にはできない未来像を提案することができる。
その確信がどんどん強くなっていきました。
一番勿体ないのは、お金ではなく、良くない間取りに合わせて、我慢しながら住み続ける“お客様の時間”なんです!

「好き」を極めることがブランドになる
また印象的だったのは、ブランディングについての話。
「好きなことの専門性を高めて、その分野での提案力を突出させれば、それがブランドとして通用します。」
“ブランド”とは飾ることではなく、“深めること”なのだと感じました。
ただ知っているだけではなく、極めていることでお客様と共感が出来、さらにお客様にとって未知の提案につながります。


参加された皆さんも各々メモを取ったり写真を撮ったりと熱気あふれてます!
また、「何でも屋さんになってはいけない」
何でもできるは何もできないと同意。または誰でもできること。
わかってはいても、どうしても「何でもできますよ」と言いがちな私には痛い言葉でもあります。
訪問の日 ― 限られた中で枠を超える
後日、「ぜひ遊びに来てください」とお声を掛けて頂いて、アスリノの三浦さんと一緒に事務所へ伺いました。
ちょうど新しいオフィスへの引越し準備の最中。お忙しい中伺って恐縮している私達を温かく迎えて下さいました。
いろいろなお話をさせて頂きました。
「お客様の不満を元にプランするのは誰でもできる。時に、お客様の不満ではなく、その物件のポテンシャルありきでの提案が必要。リノベーションはパズルのようなもの。既存の制約の中で枠をよく知った上で、その枠を超えてこそ。」
“自由にデザインする”ことがプロではなく、“限られた条件を読み解いて、可能性を導き出す”ことがプロ。
私もお客様の「こうしたい。」を超えた提案をしたいと思っていますので、第一人者の各務さんからこの言葉を聞けたことはとても励みになります。
良い仕事をしても、次に繋がるとは限らない
さらに各務さんはご自身の“事業の歴史”を率直に話してくださいました。
「良い仕事をしていても、それだけで次のお客様に繋がるとは限らない。」
まさか、あの各務さんからそんな言葉を聞けるとは。
確かに優れた設計者であるだけでなく、この業界におけるホームページ運営の先駆者でもあるからこその言葉。
ホームページの事例の紹介やブログ記事を拝読するとその圧倒的な情報量。そしてお客様との信頼関係が感じられます。
私もまた、「良い仕事さえしていれば、自然に広まるはず」そう信じていた時期がありました。
でも現実は、発信しなければ誰にも届かない。だからこそ常にアンテナを張り、ウェブやSNS、言葉の表現を磨くようにしています。
「すぐできる」は危うい言葉
お話は、ホームページでの表現にも及びました。
私のホームページには、
「理想の空間が、相談すればすぐに実現できる」
というニュアンスを感じさせる箇所があります。
けれどそれは、
“簡単にできる”という意味ではなく、
“お客様に余計な負担をかけないように、
私達が裏で膨大な時間と労力をかけて準備している”ということなのです。
空間づくりの裏側には、素材選びや、職人さんとのすり合わせ、現場での微調整など、無数の小さな工程があります。
お客様の前では「すぐにできます」と言えるようにするために、私達はその何倍もの時間を費やしています。
だから“すぐできる”という言葉は、お客様の時間を守るための努力の結果であって、
決して軽い意味ではないのですが・・・インパクトを出すために説明を端折ることがあります。
知らず知らずのうちにウェブマーケティングのセオリーに毒されていました。
ただ、私のところに来て下さるお客様は、本質的なところに魅かれてきて下さるので、この部分の無駄な誇張は不要なんだと再認識しました。
もちろん、「時間をかけてじっくり進めたい」というお客様もいらっしゃいます。
その場合は、あえてスピードを落として、
一緒に考え、一緒に悩みながら決めていくプロセスを大切にしています。
大事なのは早く終わることではなく、
その方にとって“ちょうどいい時間”で進むこと。
お客様のタイプや人生のリズムに合わせて、最適なペースで空間をつくること。
“すぐにできる”という安易な表現ではなく、
しっかりとした思いをこれからはもっと丁寧に伝えていこうと思います。
お客様に丁寧に向き合われていることが伝わってくる
温かみのある手描きのリノベーションプランを頂きました。

「広く」ではなく「深く」
ブログ記事に関して各務さんに教えて頂いたことがもう一つあります。
「広く読者層を広げるより、もう読んでくれている人を、もっと深いファンにしていく方がいいですよ。」
その言葉が、胸に響きました。
ドリームインテリアはホームページからのご依頼のみでお客様と繋がっているので、どうしてもたくさんの方々に知って頂きたい。
という思いで不特定多数の方に向けて発信してしまいがちです。
でも、確かにまだ目には見えないけれど、どこかで記事を読んでいて下さる方こそが、私達がつながりたい未来のお客様です。
このような指摘をしていただけるのは本当にありがたいです。
実際にまだ見ぬお客様と出会い、その関係を大切にしてこられた方だからこその発言。
共感して下さるお客様とのつながりをもっと強めていこうと思います。
“自分史上最高のインテリア”を、超えていく
「今の不満の解消は誰にでもできる。今ある物件のポテンシャルを最大限に引き出すことで、お客様の想像を超えた満足が生まれる。」
各務さんのその言葉を思い出すたび、私は“自分史上最高のインテリア”というフレーズの意味を、もう一度考えています。
それは、お客様の“想像の範囲内”で終わってはいけない。“想像を超える満足”をつくること。そこにこそ私たちの使命がある。





